市況解説 2025年6月3日(火)

大引け・小幅続落―不透明感漂い、上値の重い展開を抜け出せず

3日の東京株式市場で日経平均株価は小幅に3日続落、前日比23.86円安の37446.81円で取引を終えた。米中協議の進展期待から2日の米株式相場が上昇した流れを引き継ぎ、値嵩の半導体関連に買いが先行、植田日銀総裁の「ハト派」的な発言が追い風に働く場面もあったが、上値の重い展開を抜け出せなかった。昨日発表された5月の米ISM製造業景気指数の悪化を受けて、関税引き上げの悪影響が実体経済に及んできたのではとの懸念が台頭、ドル売り圧力がくすぶり続けていることも買い手控えムードを助長させた模様で、この日の安値で引けた。東証株価指数(TOPIX)も小幅に3日続落。東証プライムの売買代金は概算4兆107億円、同売買高は概算16億6704万株で、値下がり銘柄数は997、値上がり568、変わらず65だった。業種別TOPIXでは「電気・ガス」「医薬品」「卸売」をはじめとする19業種が下落、「鉱業」「機械」「海運」など14業種は上昇。「イーロン・マスク氏、インド市場で挽回を狙う」との一部報道を受けてスズキ(7269)が大きく売られ、松屋(8237)は不冴えな5月月次が嫌気された。大塚ホールディングス(4578)はライバル企業の良好な治験結果が伝わり続落、上期業績下振れの泉州電業(9824)には売りが膨らんだ。反面、川崎重工業(7012)、IHI(7013)が年初来高値を更新するなど防衛関連が軒並み買われ、伊藤園(2593)は今期の2桁増益・増配見通しが好感された。物言う株主として著名な香港の投資ファンドが株主に浮上したエムスリー(2413)には思惑買いが膨らみ、テレビ番組に取り上げられたSansan(4443)も大きく買われた。「京大などとiPS創薬で最終治験」と伝わった東和薬品(4553)は後場急伸。

新興市場では、東証グロース250指数が大幅に3日続伸。大型株の値動きの鈍さを受けて、資金シフト思惑も広がった模様。QPS研究所(5595)、レナサイエンス(4889)、イシン(143A)が買われ、売れるネット広告社グループ(9235)、トヨコー(341A)、INFORICH(9338)は売られた。

前引け・小反発―米中協議進展期待などを好感も上値の重い展開

3日午前の東京株式市場で日経平均株価は小幅に反発、前日終値に比べて76.18円高い37546.85円で引けた。「米中首脳が週内にも協議する可能性が高い」との一部報道を受けて、前日の米株式相場が上昇した流れを引き継ぎ、半導体関連を中心に買いが先行。10時過ぎに伝わった植田日銀総裁の発言が「ハト派」的との受け止めが広がり、円相場が弱含みに転じたことも追い風に働いた一方、先行き不透明感のくすぶりなどから輸出関連主力株や高値圏にある内需株などが売られ、上値の重い展開からは抜け出せなかった。東証株価指数(TOPIX)は小幅続落。東証プライムの売買代金は概算1兆9831億円と引き続き低調、同売買高は概算7億8401万株。値上がり銘柄数は545と、値下がり1021を大きく下回り、変わらずが63。業種別TOPIXでは「鉱業」「機械」「パルプ・紙」など13業種が上昇、「電気・ガス」「不動産」「卸売」をはじめとする20業種は下落。アドバンテスト(6857)やソフトバンクグループ(9984)などに米中協議進展を期待した買いが膨らみ、ソニーグループ(6758)にはモルガン・スタンレー証券の強気レポートが観測された。通期業績予想を引き上げた内田洋行(8057)は急伸、ラウンドワン(4680)はアクティビスト(物言う株主)の主張を受けた買いが継続。ゼンショーホールディングス(7550)は5月月次が評価された。反面、トヨタ自動車(7203)やリクルートホールディングス(6098)が売られ、中外製薬(4519)など大手製薬メーカーの下げも目に付く。日本ヒューム(5262)には利食い売りが殺到、大成建設(1801)など大手ゼネコンも冴えない。

新興市場では、値動きの良さなどに着目した買いが継続し、東証グロース250指数が続伸。フリー(4478)、データセクション(3905)、ブルーイノベーション(5597)が買われ、ヘリオス(4593)、GENDA(9166)、アライドアーキテクツ(6081)は売られた。

更新のタイミング
「前引け」市況解説...12時30分ごろ
「大引け」市況解説...16時30分ごろ
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